| |
● |
妊娠の仕組み |
| |
|
妊娠の成立には大まかに |
| |
|
・卵巣の成熟
・排卵
・精子の産生
・射精
・受精
・着床
という6つの過程が必要です。 |
| |
|
このうち、1つでも問題があれば妊娠は成立しません
|
| |

検査の流れ
▼
基礎体温
毎朝一定の時間に、起きてすぐ動き始める前に、布団の中で婦人体温計を口の中に入れて(舌下)基礎体温を測って頂きます。基礎体温表には基礎体温の他、月経の開始や量、不正出血の有無、夫婦生活の日なども記入して下さい。
通常、基礎体温は低温相が約14日間、高温相が14日間です。
低温相と高温相の2相性かどうかにより、排卵日がいつ頃だったのかがわかります。
以前は最終低温日が排卵日だと言われていましたが、最近では最終低温日から高温相の2日目までの間に排卵が起こっていると考えられています。
また、高温相の基礎体温の状態などから黄体機能不全の有無を診断します。
婦人体温計は水銀体温計からメモリー付きのデジタルのものまで、数多く 売られておりますが、水銀体温計がさほど高額でもなく、一番精度が高いと言われています。
また、お仕事の関係などで睡眠時間が不規則な方でも、5時間の睡眠時間がとれていれば信頼性があるとされ、
起床の時間の2時間のずれまでは基礎体温に影響を及 ぼさないとされています。 とにかく、継続して測定し続けることが大切です。
▼
ホルモン検査
 |
脳下垂体から分泌される性腺刺激ホルモンであるLH、FSHの測定で脳下垂体機能の判定 卵巣機能の判定、多嚢胞性卵巣の存在等を知る事が出来ます。
分娩後に脳下垂体から分泌されるプロラクチンは、乳汁分泌を促すホルモンで、血液中のプロラクチン値が高くなると、下垂体からLH、FSHが分泌されなくなります。
エストロゲン(卵胞ホルモン)は卵巣の予備能と卵胞の成熟具合を見る事が出来ます。
また、子宮内膜増殖状況もみます。
プロゲステロンは排卵後7日目頃に測定し、低値を示せば黄体形成不全のことがあります。
|
|
プロゲステロン値が低いと、受精卵着床に必要な子宮内膜の分泌期への変化が不十分で、受精卵は着床できません。
また、受精卵はある限られた時期にのみ子宮内膜に着床することが出来(implantation window)、この窓(window)の開閉にプロゲステロンが関係しているという説があります。
|
▼ 超音波検査
経腹的超音波では、主として子宮筋腫、卵巣嚢腫の有無などを見ます。
経膣的超音波で最もよく用いられるのは、卵巣に発育した卵胞の数や大きさの測定。この結果 により、体外受精の採卵や人工授精の日時の決定、またタイミングの指導を行う事が出来ます。
体外受精の採卵時は、経膣的にエコーを見ながら採卵針を刺入して卵胞液とともに吸引します。
▼
子宮卵管造影法
子宮頸管から造影剤を注入し、子宮頸管、子宮腔の形状、卵管の通
過性、蛇行をレントゲンにて撮影します。
卵管が閉鎖している場合や、狭窄している場合は、造影剤を注入する際、多少の痛みが伴いますが、造影剤を入れる事によって、閉鎖しかかった卵管が通
る事もあります。
卵管が間質部(子宮からすぐの部位)で閉塞している場合は透視下に選択的卵管造影を行います。当院のX線撮影装置はデジタル方式ですので、被曝量 は極めてわずかです。
▼
子宮鏡
子宮腔に点滴用の滅菌生理食塩水を流しながら、直径3.8mmの最新CCDカメラにて、子宮の中を高度解析画面
にて観察します。アッシャーマン症候群(子宮内の癒着)や、子宮内のポリープなど着床障害を起こす因子があるかないかを、視覚的に見つけ出す事が出来ます。
▼
精液検査
検査日に自宅にてマスターベーションにより採取して頂き、事前にお渡しする専用容器に全量 を入れて、奥様に持ってきて頂きます。(ご主人の来院は、必ずしも必要ではありません。)
顕微鏡下にて、精子数、精子濃度、運動率、奇形率等を調べます。
なお、コンドームには殺精子剤が付いている事もあり、精子の運動率に影響を及ぼす可能性があるため、使用しないで下さい。
また、性交不全による不妊は1%にすぎないとされています。ED(勃起機能の低下)は神経・血管系統の疾患によるものもありますが、心因性によるものが68%を占めます。その多くは過労、過度のストレス、精神的ショックによるものです。
長期にわたる過労や精神的ストレスは、精液所見も悪くなり、運動率の低下を誘引します。適当な休養や精神的なリラックスが得られますと、運動率が回復する事があります。
▼
抗精子抗体
原因不明の不妊症の女性約13%に、精子不動化抗体が発見されています。
精子不動化抗体は、精子との出会いによって女性の血液中に産生されます。この抗体は、頸管粘液のなかにも卵胞液の中にも存在します。
この抗体が存在すると、精子と精子が凝集を起こし運動が停止してしまったり、精子が死滅してしまったりするので、排卵前に頸管粘液がいくら十分に増加していても、射精された精子は子宮腔内に進入できないので、不妊の原因となります。(フーナーテストは不良ということになります。)
抗精子抗体の血中抗体価は数ヶ月の周期で増減します。
ですから、抗体価が低下したときには自然妊娠する場合があります。
▼
クラミジア検査
STDのひとつであるクラミジア感染は、感染していても自覚症状がほとんどなく、本人が気付かないことが多いです。
クラミジアの感染によって炎症が起こり、卵管内に膿や体液が貯まる事もありますし、卵管が閉鎖してしまったり、さらに重症になると腹膜や腸管、卵管、卵巣の癒着が広範囲に起こる場合もあります。結果
として排卵時に卵管采が卵巣に接近できないために、卵が卵管に取り込まれにくくなる、ピックアップ障害が起こりえます。
▼
フーナーテスト(生体内精子貫通テスト)
射精された精子が、頸管粘液を通過して子宮腔内に進入できるか否かの検査です。
排卵1日前くらいの朝、性行為を持ってもらい、そのまま2〜3時間後に病院で後膣円蓋、外子宮口、内子宮口、子宮腔内の4カ所より、細いチューブで粘液を採り、スライドグラスに滴下したのち、顕微鏡下で精子数を数えます
排卵誘発
クロミッド、セキソビットなどの経口剤から開始し(3ヶ月を1サイクルと考えています)、妊娠に至らない場合は注射による誘発に変更していきます。
| 経口剤 |
注射薬剤 |
点鼻薬 |
セキソビット
極めて弱いエストロゲン作用のある薬です。視床下部からのGnRH
(ゴナドトロピン放出ホルモン)の分泌を促進し、下垂体からのFSH(卵胞刺激ホルモン)の分泌を促進します。
フェミロンのように、排卵時の頸管粘液分泌の低下や、子宮内膜が薄くなるなどの副作用はありません。
クエン酸クロミッフェン
(フェミロン)
セキソビットよりもエストロゲン作用の強い薬です。3か月以上服用しますと排卵時の頸管粘液分泌の低下や、子宮内膜が薄くなるなどの傾向があります。その作用を考慮して月経1〜3日目より服用して頂きます。 |
作用の強い排卵誘発剤です。経口の薬では十分な卵胞の発育が得られない方に使用します。FSHの他にLHが多めに含まれているものと、少なめに含まれているものがあるので、自然周期のFSHとLHの変動を考慮して薬を使い分けします。また、この使い分けにより副作用である卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を予防することが出来ます。
・ hMG製剤:閉経後の女性の尿から作られているゴナドトロピン製剤
フェルティノームP
フォリルモンP
ヒュメゴン150
HMG日研
ゴナドリール
・ rec-FSH:遺伝子組み換えの技術で作られたFSH製剤。欧米ではこのrec-FSHの使用が主流となっていますが、日本では高価なことからまだあまり使用されていないのが現実です。
フォリスチム注75単位−150単位
・ hCG製剤:人の体から分泌されるLH(黄体化ホルモン)と似たような作用をします。十分に卵胞が成熟した時期にhCGを投与することで排卵を誘導したり、排卵後に出来る黄体機能を維持させることができます。
卵胞がたくさん成熟しているときの使用は、卵巣過剰刺激症候群の原因になりえます。
プロファシー5000単位−1万単位 |
GnRH製剤:視床下部から分泌されるGnRHを促進させ、下垂体からのLHの分泌を促す作用があります。子宮内膜症や過多月経などの治療にも用いられる薬です。
スプレキュアー
ブセレキュアー |
タイミング指導
尿中LH濃度、超音波での卵胞発育具合などをみて、排卵の時期を予測し、性交のタイミングをお教えします。
あくまでも、自然に任せた受精での妊娠を目指します。
|
AIH(配偶者間人工授精)
排卵前に頸管粘液が極端に少ない場合、精子数が少ない場合、精子運動率が悪い場合に行います。
培養液で洗浄した精子を、先の柔らかいプラスティックシリンジから子宮腔に挿入して、0.3〜0.5mP注入します。
欠点としては、この方法はあくまで自然受精ですので、本当に受精されたかどうかがわからないことです。
|
|
ICSI(卵原形質内精子注入法)顕微授精
精子数、精子運動率が極端に悪い場合、通常のIVF-ETで受精率が低い方に適応となります。
妻の卵巣から採取した卵子を、顕微鏡下で細い吸引ピペットで固定し、わずかな精子の中からできるだけ運動性のある精子を1匹、注入ピペット内に吸引し、注入ピペットの先端を卵の形質細胞まで刺入して、ピペット内の精子を注入します。
|
|
IVF-ET(体外受精ー胚移植)
子宮外妊娠などで両側の卵管がない場合、両側の卵管が閉塞している場合、抗精子抗体が陽性の方、そして、一般的な不妊検査をしても原因がわからず、人工授精を繰り返しても妊娠に至らない場合に適応となります。
|
この方法では、受精されたかどうかを顕微鏡下で確認する事になりますので、人工授精での欠点はカバーできる事になります。
患者さん個人の卵巣機能に応じた排卵誘発剤を用いて卵巣刺激法を行い、複数の卵胞を成熟させて採卵を行います。
麻酔(静脈麻酔)をかけてから、経膣的に超音波を見ながら採卵針を刺入して、卵胞液を吸引して卵丘細胞に包まれた卵を回収します。
採卵後は直ちに実体顕微鏡下で卵の有無と成熟度を確認し、なるべく空気に触れないように、また光にも当たらないように素早く培養液に入れ前培養をします。
|
|
|
約4時間の前培養の後、SWIM-UP法にて得られた良好精子を、卵の入った培養液の中に混入します(媒精といいます)
媒精より18時間ほどたってから、受精が起こっているかどうか(前核の有無)を確認し、受精卵を新しい培養液に移し替えます。 さらに培養を続け、媒精より46〜48時間(採卵後2〜3日目)たったところで、良好な分割卵を子宮腔に移植します。
また、媒精から5日目まで培養を続け、胚盤胞といわれる状態まで培養したものを子宮腔に移植する事もあります。
|
凍結保存
ARTにおいては、排卵誘発剤を用いた調節卵巣過剰刺激法が多く用いられるため、多数の卵子が採取されます。その結果 、多数の受精卵が得られます。
日本産婦人科学会の戒告により、受精した胚は3個までしか移植できませんので、残された良好胚(凍結に耐えられると判断したもの)は凍結をして保存します。
|
|
未受精卵に関しましては、細胞内の構造や卵細胞膜の性質の違いから、同じ凍結方法では凍結により卵子の紡錘体に障害を起こしてしまい、結果
卵子の生存率が極めて低くなることから凍結保存することは出来ませんが、精子は凍結保存する事が出来ます。
また、妊娠が成立しますとOHSS(卵巣過剰刺激症候群)が発生したり悪化したりすることがあります。そのような場合には全胚凍結を行う事により、OHSSのリスクを低下させることになります。
現在までのところ、新鮮胚と凍結胚での胎児の発育、周産期のリスク、合併症や先天奇形などに関して有意差は認められていないと報告されています。 |